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しんしん河 9月7日

自分の命を失うことを人は畏れて生きている。

大切な人を失った時の あの思いを表現できる言葉があるだろうか。

それは その大切な人が この世からどんな去り方をしても

とはいえ
なにものかに その命をうばわれてしまった場合は ちがうだろう
なにものか、が大自然の猛威である場合と
なにものか、が人である場合と
なにものか、が病魔である場合と

そしてどんなふうに 奪われたかによって
さらには、どんなふうに守りきれなかったかによって

まったくちがう

ちがうのだが、大切な人を失うということは決定的に
失った人を変える

母を失ってからというもの わたしは おかしい
おかしいというのは、自分が自分でないような、というおかしさである

悲しい、心に穴が開いた、さびしい、喪失感、
それらの言葉では 
失った者の心は覆いつくせない

ただ しんしんと 夢もなく、怖れもなく
諦めではなく、悟りでもない

見えてくるのは 永遠の大河

どこかでいつも母を追いかけている
生きている母を
そして、精一杯生きている
本当に誠一杯の一瞬を