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あなたがいて、わたしが わたしになる 6月24日

先日尊敬する平子恭子先生から、
昨年ご逝去された先生の夫様である、
平子義雄先生の御遺稿となった
「あなたがいて、わたしがわたしになる」人称と孤独、
という本をいただきました。


平子義雄先生が東大ご出身で、
東大の教授をなさっておられることは存じていましたが、
こんなに素晴らしい本をお書きになっているところまでは、
残念ながら存じ上げませんでした。
その理由の一つに、
平子恭子先生のご研究や書かれている書籍は、
与謝野晶子の教育論ですとか、
本当に緻密で正確なもので、
私は恭子先生のお書きになっているものを、
少しずつですが、
ずっと読み続けているのが精いっぱいでした。
けれど今回いただいた義雄先生のご本は、
ドイツ語の人称から始まって英語や日本語との比較論から、
人格と向き合うこと、現
代社会のわたしたちが抱える課題や孤独、
あるいは環境問題までに切り込まれており、
語学の域をはるかに超えた「人間学」が、
やはりそうとう緻密な調査研究に基づいて書かれており、
社会学や人文学をも超越した、
とにかくなんかすごい本だな、と吸い込まれています。
今自分が行っている活動の根幹にも深く影響する本です。
でも、語学における人称の問題が、
人間論になるのは当然かもしれないですね。
私たち人間は、考えるとき、必ず言葉で考えているのですから。
各国の言葉の語法性の違いは、
ものの考え方や価値観の違いを生むわけで、
それが文化のちがいになるわけで・・。
孤独に対する向き合い方も
日本人は少し弱い・・と書かれています。
その理由も。
素晴らしい本です。
偉大な才能がこうして本という形に遺していただけたのは、
ありがたいことです。