夫が車でバックしたとき、
我が家の貴重な文化遺産ともいえるゴミ箱が割れた。
「あたったのが子どもや人でなくて良かった、気いつけてよ。」
と、物わかりのいいことを言いつつ、
内心、少々腹が立っていた。
ネットで見てみると、
いまどき、こんなゴミ箱は売っていない。
もうセメントも限界に近いのを、
ふたを何度も作り変えながら使ってきた。
両親の新婚当初からだから、
50年を超える骨董、
ともいえる。
2、3日壊れたまま放っている夫に、
「どうするの?」
「コーナンへいってくるわ」
ちょうどカブトムシのつがいの箱が小さいので、
子どもらとコーナンへ出かけた。
夕方仕事から帰ると、
「セメントを買おうと思ったら、
このごろこんなチューブ入りのセメントボンドがあったわ」
夫が息子とともに、大工仕事をはじめだした。
彼は、何かするとなると、必ず聞いてくる。
「ベニヤ板はなかったかな」
「ああ、前に玄関に置きっぱなしやったのは、
裏のホースのとこに置いてあるよ」
終わって息子とじゃあじゃあと手についたセメントボンドを
洗っているが、これが取れない。
「ははは、手袋せんかったんが、失敗やったな」
と二人で笑っている。
いい光景だ。
修繕のおわった、ゴミ箱を「まあ見て」というので見に行くと
とりあえずは、大きなパッチワークのようにつなげられていた。
素人丸出しの風合いも、
なかなかいいもの。
相変わらず、
最後まできちっと掃除せず、
おがくずがおちたままなのも、
今日は言わずにおこう。