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親友の初孫と橋下知事 7月18日

先日、このブログで少しご紹介した親友の初孫さんたちのこと。

一人はイタリアのラグーサの父のもとへ母子で帰国。

順調に育っているようで、

生後2か月でピアノを弾く様子まで紹介されていて

ドビュッシーも驚くほどの才能?

 

一人は、「何とミラクルベビーよ!」と親友からの電話。

67万人に一人といわれている

メープルシロップ尿症だということがわかったという。

それでも「先週の土曜日は危なかったの」。

 

わが国では出産すると、

新生児の尿検査が行われる。

先天性代謝機能異常を検査する。

彼女の初孫ちゃんもそれでわかった。

 

原因は両親の遺伝子の合致によるものとわかっているので、

難病認定はなされない。

 

ムコ多糖症やフェルトニン代謝異常などよりも

もっとレアなメープルシロップ尿症なのだという。

タンパク質がうまく分解されず、

毒素を生んでしまい命にかかわる病気や

障がいをひきおこしてしまう。

 

だから母乳も牛乳もだめ。

一生お肉やお魚も、

あらゆるタンパク質を摂取できない。

 

森永ミルクが製造している専用の除去ミルクや

除去食によって生活していかなければならない。

その除去ミルクも一缶3万5千円もする。

メープルシロップ尿症でも

彼女の場合は日本で18人しかいないそうだ。

 

18歳までは、かろうじて治療の助成はあるけれど、

18歳を超えると助成がないために

高額な医療費となり、

治療ができなくなる人もいるという。

 

昨夜、親友から電話がかかり、

「橋下さんが大阪府の知事の時に、

 この新生児のマス・スクリーニング事業を

 廃止しようとしたんだって」と。

 

調べてみると平成20年4月11日に、

大阪府の財政再建試案のなかで、

新生児のマス・スクリーニング事業1億円を全廃、

とあった。

 

これについては

全国の先天性代謝機能異常の傷病をもつ子どもの

親たちのグループや団体が抗議の運動を展開し、

毎日新聞などのメディアも大きく取り上げたので、

6月には従来通りにと訂正されている。

 

67万人に一人の病気の発現率であっても、

全国に18人という数字であっても、

一人一人の子どもの命は地球より重い。

大切な命。

 

親友の初孫もこの検査によって発見されたことによって、

今、入院しながらも生きている。

 

少数切り捨て、

弱者切り捨てだけの発想で財政再建なんて、

何の意味があるだろう。

政治の基本姿勢が間違っていますね。

 

親友も彼女の娘さんも、

メープルシロップ尿症の赤ちゃんと、

これからともに生き抜く決意にあふれています。

 

「典子ちゃんの出番よ。

いろいろ調べたけど、

国に制度も作ってもらわないといけないし、

マス・スクリーニングで助かる命がある以上、

一つ大きな仕事が増えたよ」

「この子は、わたしたちにそのことを伝えるために

生まれてきてくれたんだよ、きっと」と親友が、

涙をこらえているのがわかる。

 

親友の娘は隠岐の島の男性と結婚し、

実家での出産を終えたら、

島に帰るはずだったけど

日本大学のメープルシロップ尿症の権威と言われる主治医から、

「私がこの子を一生面倒見ます」といわれ、

隠岐の島に帰ることは

「死を意味する」と言わんばかりのことを告知されたという。

隠岐の島の雄大な自然の中で、

木こりをしている娘さんの夫が東京に出てくる、という

これまた大きな人生の転換を迫られている。

 

なにより子どもの命、

子どもと生きるということを選択しているのだ。

 

私は親友親子をあらためて尊敬している。

 

少子化対策が急務というなら、

こういう子どもたちの病気や障がい、にもっともっと

サポート施策の整備の推進が必要です。