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息子のHIROSHIMA 8月31日

中学2年の息子が、

4日間の広島での平和勉強合宿から帰ってきた日のこと。

 

「どうやった?広島は」

 

「とにかく怖かった」

「怖いと思った」

「戦争も原爆も原発もぜったいあかんな、お母さん、絶対あかんわ」

「88歳の語り部の人の話を400人で真剣に聞いた」

 

「静かに聴いたん?」

「うん、シーンとして、誰一人しゃべらんとまじめにしんけんに聞いた」

 

「語り部の人は、自分の身体のあちこちにガンができているけど、がんばって僕らのために

話してくれた」

「原発もあかんとおっしゃってた」

 

「広島でまず全員で黙祷した。土砂崩れで亡くなった人たちのために、そして毎日お経を

唱えた」

 

「それで広島は、楽しかったん?」

 

「楽しいというより、怖かったし。考え方変わった」

 

「なんの考え方?」

「生きるということ、死ぬということを考えた」

 

清風学園中学2年生。

すばらしい学校だと思いました。

仏教学校であり、子どもたちに他人の死を悼み、

祈り、戦争、原爆、原発のむごさと

平和の尊さをしっかりと教育している。

宗教の宗派に関わりなく、

平和と人権の教育をきちんと行ってくれています。

 

ただの「がり勉中学」でなくてよかった。

 

「いい勉強してきたんやね。そんな勉強させてもらえるってすごい学校やね」

「うん。88歳の語り部さんの生き方や話の内容をみんなで考えて弁論大会もやった」

「感想文もきっちり広島で書いてきた」

 

たしかに息子は、

たった4日間なのに、

すこし大人びて帰ってきたように感じました。

 

もっと話を聞かせてもらうことにしている。

 

「お母さんも語り部さんのお話、聞きたかったな。」

 

「語り部さんって、もうだんだん人数減ってきてるって。ぼくじゃ跡継ぎになられへんけど伝えてっておっしゃてた」

 

「そう。そのためにも戦争のこと、ちゃんと勉強せなあかんね。教科書にも出てないこといっぱいあるよ」

 

「うん。そのことも話を聞いた」

 

「そう。」

 

そのあと息子は、

深いため息をついて、

2階へ上がり、

ぐっすりと休んでいました。