昨日、一日中あちらこちらと走っている隙間に
女性団体の事務局に立ち寄っていると、
一人の女性に偶然お声をかけられました。



志賀伸子さん。...
志賀さんから、一冊の絵本とお手紙を頂戴しました。
「長いおるすばん」(文芸社 2019)。
志賀伸子さんが書かれた絵本。絵は石黒しろうさんです。
志賀伸子さんは、2011年の東日本大震災で福島から堺市に
避難して来られました。
別に堺市に親戚がおられるわけでもなく、あの時は、
全国の自治体がそれぞれ、市営住宅や生活用品などを用意して
避難者の受け入れ体制を整えました。
志賀伸子さんは、たまたま堺市に来られたのです。
まったく知らない所へ。
被災後は途方に暮れて、うつ状態になられていたとのこと。
堺の町を歩いておられたとき、今の男女共同参画センターの前を通りかかり、堺自由の泉大学の受講生募集のポスターを見つけられました。
もともと教職の志賀伸子さんは、堺自由の泉大学の日本画講座に
通われるようになりました。
その後、堺市女性団体協議会の存在を知り、2012年に
女性創作展に出品され、女性団体委員長賞を受賞され、
2016年には堺市長賞を受賞されました。
そんなことが、志賀伸子さんの背中を押して、
人生の新たな希望が生まれたと。
そしてこの絵本が書かれました。
綴られたお手紙には、福島への帰還は許可されているけれど、
実際現地は、インフラ整備がなされておらず、
戻っても生活はできないと書かれています。
昨夜、この絵本を読ませていただきました。
なんだか、もっともっと深い福島を後にした人たちの見えない思いに
衝撃を受けました。
堺市立男女共同参画センターには、もう一つ福島から避難されて
来たご家族との物語があります。
センターの滝口館長や堺市女性団体のメンバーが、サポートしてきました。
震災は多くの人生を狂わせてしまいました。
未だ震災は続いています。
魂の込められた公的施設には、人々が集い、
脈々とそれぞれの人生が絡み合います。
優しさが、そよ風のように流れています。
単なる事務事業にとどまらないのです。
なぜなら、一人ひとりの思いと生がそこにあるからです。
来月には80歳を迎えられる志賀伸子さんの堺での一日一日は、
心が故郷の福島にあり続ける日々です。
志賀伸子さんの絵本を読ませていただいて
よくわかりました。