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Paris,Orsay パリ、そしてオルセー美術館

20代のころは、一人あるいは友人と世界を旅した。パリはあこがれの町の一つだった。

アルバイトをしては小金をためて、飛んだ。どこの国についても町並みの風景と、美術館が一番の目的。あとはウインドゥ・ショッピング。そしてコーヒー。

 

ある秋。一人でパリにいた私は、ルーブル近くのプチホテルから、セーヌ川に出て堤防の道を歩いてオルセーに向かう。並木の大木には、どの木にもゴッホの自画像のタペストリーが飾られ、ゴッホ通りを歩いている気分だった。ホテルの朝食は、クロワッサンとカフェオレだけ。卵も、野菜もフルーツもないのだ。完璧フランス式?だからちょっと物足りないと思いつつも歩いていた。ただ、はちみつやジャムのおいしさを知ったのはこの頃かも知れない。

 

対岸にノートルダム寺院が見えている、朝早いのに大勢の観光客が群がっている。

セーヌの流れは相変わらずのモスグリーンで、両岸の紅葉とともに落ちついた色彩で

静かに「これがパリさ」と主張している。

 

気楽な格好で、こんなオシャレな街を歩いてルンルン。一人を満喫できた時代。 今はなかなか一人になれない。子供たちがいる。でもこれもきっと限られた時間と思うと 愛おしいものだ。もう少し大きくなったら私の大好きなオルセーに一緒に行くとしよう。

 

オルセーはいい。オルセーは明るい。こんなに光の入る美術館でいいのか?絵は傷まないのだろうか?と思ったけど、いい。オルセーは開放的だ。

見る人と作品の間にロープはなく、見る人が思い思いに作品を愛する光景がある。

1日中一つの作品の前で座っている壮年の女性。一心にカンバスに模倣画を描く美術学生。

 

さりげにゴッホの自画像がかけられている。天井の窓から光がさし、天才画家の絵の具の色の重なりが本当によくわかる。

そういえば、日本の美術展は会場が暗いところが多いような気がする。

大好きなパウル・クレーの作品も色がわかりにくかった展覧会もある。色の魔術師と言われる画家の色がわからんような展覧会だけは、お断りだ。

 

今年、東京でオルセー美術館展が開催されていたけど、行けなかった。仕事であれほど東京に行っても絵を見る時間はない。この悔しさもためて必ずまたオルセーに行こう。

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