母(山口彩子)は、日本舞踊 花柳流の名取であった花柳雄泉花。 日頃、紺色のスーツ姿でバリバリ仕事をこなしている母が年に何回か大きな舞台の上でかづらをかぶり、本衣装をまとい、顔も手足も首も胸も真っ白におしろいを塗りお姫さんや芸者さんに化ける。 舞いはじめると、私ら子どもの知らない母がそこに居る。そのうち、私は、その非日常の文化を楽しみにするようになった。母は私に日本舞踊を教えてくれた。 けれど指先にしなやかさがなく、ラジオ体操みたいになってしまう。そんな私に母は「もうやめとき。筋ないわ」といって、やめた。 そのかわり、私はピアノをがんばった、何か母に認められたかった。夏のピアノの発表会のときに、母はこい黄色のノースリーブのワンピースをあつらえてくれた。 見ると母と同じワンピース。おそろいである。 嬉しかった。市民会館の小ホールで母と二人ヒマワリになれた気分だった。。。 |
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