おもしろい本を発見できました。 出会ったという方が正確かもしれません。 大好きなPaul Kleeの本。 「クレーの食卓」 日本パウル・クレー協会 林 綾野、進藤 誠 編・著 (講談社 1800円税別)
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わたしはとにかく、 中学生のころから絵をかくのも、見るのも大好きだった。 父の趣味で、 家には膨大な古今東西の有名無名の画家の画集や図録があり、 小さいころから絵本代わりに眺めていた。 特に色の魔術師といわれてきたクレーの絵でのなかで、 美しい色彩画よりもクレーが晩年に描いた鉛筆などでのデッサンが好きだった。 中でも天使シリーズ。 数ある天使の中で「忘れっぽい天使」は自分でも空で模倣できるほど好き。
嬉しいことに、「クレーの絵本」や「クレーの天使」と題して、 クレーの絵にこれまた大好きな詩人の谷川俊太郎さんが詩をかいておられる、 別の2冊も持っている。
クレーは日記を書く人でも有名だったけれど、 その日記にメモ書きでその日食したものや、 レシピなんかがメモ書きされていたりするんですって。 けっこう食いしん坊な画家だったんだなあ。 この本にも再現レシピが掲載されてて、おいしそう。 ドイツではクレーの料理講習会やクレーが散歩した道の歩こう会とか、 クレーはなかなかの人気者。
ポルチーニ茸のリゾット、フレッシュ・シャンピニオン、 大麦のスープ、焼きリンゴなど、再現されたお料理と、 クレーの絵とクレーの人生が描かれている 楽しく秀逸な本。 縦横17センチくらい、厚さ1センチほどの小さな本だけれど すばらしいクレーの宇宙が詰まっている感じです。 こんな本をつくれる人の感性と才能に触れる幸せって、 ほんとに素敵なことです。 生きててよかった、出会えてよかったと思えます。
ちなみにクレーはドイツ語でクローバーの意味っていうのもこの本で知りました。 クレーはグルメだとか美食家とかいうんではなくて、 決して経済的に恵まれなかった生活のなかにあっても、 クレー自身が腕のいい料理人だったらしい。 そんなクレーのレシピは、我が家のレシピにぴったり。 おいしくて、量もあって、ちょっぴりオシャレな感じがたまらない。 食材は安くて。
子どもたちにも、これ、クレーのレシピだよ、と教えてあげられる。 どんな反応するかしらん。たぶん「クレーってなに?」だろうなあ。 |