先日、奈良県立万葉文化館に行ったときに、
何冊か本を買いました。
子どもたちもそれぞれに本を選んでいましたが、
安野光雅さんのこの絵本は奈良三山である、
畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま)、天香具山(あまのかぐやま)が表紙になっていて、
中をみると、この明日香村の風景がそのまま描かれていて、
スケッチの素朴さにひかれました。
彼の作品集は、色々持っていますが、
安野光雅さんが、こんなにも明日香村を描いておられるなんて、
不思議な気がしました。
家であとがきを読んでみると、
何という山なのか、ここが明日香村のどこなのか、
まったくわからないまま描いた・・・と。
安野さんの絵に、
その場所の地理、歴史、万葉のことが丁寧に記されているのですが
それは、安野さんを支えている方々によって
そういう仕上がりになっているけれど、
実際には安野さんは、
とにかく自然の中で描いていれば満足だったし、
描いている時の充足した気持ちを伝えたかったと。
まわりの方がたのおかげで、
自分は明日香の風の中で呼吸をしていただけです・・。と。
安野さんは、その状況を「福のありがたさ」と表現されて、
感謝の思いを述べておられます。
ふーん。
とにかく、あっ、ここで描こう、あの山を描きたい・・
そんな感じで描かれた風景なんだなあ、
とあらためて絵をみてみると、
なんだか画家が満ち足りた笑顔で
明日香の自然の中で絵筆をすべらせる姿が浮かんできますね。
家の子どもたちにも、
ここへ行ったよね、ここ見たよね、と巻末の地図と見比べて
天香具山が百人一首に出てくるし、
山に見えないほど低くなだらかだったことを
話していました。