イチョウの葉が、金色に輝きはじめる今。
エディット・ピアフの歌声が似合う季節です。
バラ色の人生、愛の讃歌を歌ったピアフ。
フランス語の歌詞もすばらしい。
私が好きなのは、
ムッシュ・ルノーブルとか、パダン・パダン。
ムッシュ・ルノーブル氏は、
つまらなことにカッとしてしまう自分の性格のために妻に逃げられ、
妻は自分より若い芸術家のもとに走り去ったという話。
妻が去った後も妻の好きだった歌をきいて、
さらに傷つくという話。
パダン・パダンは心臓の鼓動の音とか、
追いかけてくる足音のことだそうだけれど、
この歌は、多くの男たちを泣かせてきた女性が、
今度は少し、自分の番かも・・という歌。
この曲でワルツを踊ったら、
どんな気持ちになるのかなあ。
フランスらしい。
日本の演歌とはちがうなあ。
日本の演歌に描かれる女は、
いつも泣いて、すがって、未練たらしく、戻りはしない彼を待ち続ける・・
そんなイメージがたいていだけど。
でもそれは、
実は男性の実像を女性にうつして描かれているようにも思う。
しゃがれたハスキーなピアフの声。
明らかにおばさんの声。
でもすごく魅力的。
あの戦争の時代を背景に、
一趣、もの悲しさを感じさせるメロディーに、
一筋の希望と力強さが垣間見えてくる。
そんなピアフの歌は、
枯葉舞うこの季節に人生を教えてくれる。