玄関先においてある、
父の自慢の風蘭が白い花をいっぱいつけてくれた。
庭先の木蓮の枝先につるしてある
赤風蘭もきれいに咲いてくれている。
夜なんとも、
なまめかしい甘い香り。
こんな華奢な花が、
何を誘っているんだろう。
子どもたちを呼んで、
香りを嗅がせてみる。
「ふーん」
そそくさと部屋に上がる。
なあんだ、興味なさそう。
夏の一瞬に
咲く花の香りをおぼえておいてほしいと思うのに。
そんな親の思いも知らず、
自分が子どもの頃もそうだったなと一人で苦笑い。
これから数日、
一人で堪能することにしましょう。