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Paris 11月8日

気がつけば、金曜日が終わりかけている。

土日は休み、という感覚はない。

役所は休みなんだな、話はまた来週だな、という程度。

少し寒くなってきた。

 

この季節になるとパリが恋しい。

きれいなんだな。

町全体が。

 

パリに滞在するときのホテルは決まっている。

ルーヴル美術館の隣のホテル・ド・ルーヴル。

小さなホテルだが、都心の一等地。

運が良ければ、部屋の窓を開けると

 目の前20センチのところに

ミュゼウ・ド・ルーヴルの壁がある。

触れるのだ。

 

普通は見晴らしのいい

窓のある部屋を好むのかもしれないが、

私は断然この部屋が得した気分になれる。

部屋の四方に窓があるから、

壁ばかりではないのだから。

 

フロントのある1階には、

すわり心地のいいソファセットが30セットほど。

 

必ずといっていいほど、

ジゴロのおじさんが、

お金持ちの有閑マダムを狙っている。

彼らは、驚くべき嗅覚で、

年齢、人種を超越して女の懐具合をかぎ分ける。

 

当然、私に声はかからない。

しかし母にはよくかかった。

必ずと言っていいほど。

ヨーロッパのホテルには、

バーの奥の方に、プティカジノがある。

ラスベガスや韓国、マカオなどのような

本格的なものではなく、

せいぜい客がカップルや家族で、

トランプをするような感覚の軽いもの。

 

そこで見かけるのは、

70代のグランマダムと30代ぐらいの

スマートな映画俳優張りのジゴロ。

リチャード・ギアの映画を思い出しますね。

一度ゲームで同席。こちらは20代の女子会4人。

ジゴロは愛想がいい。誰にでも。

だんだんグランマダムが明らかに不機嫌に。

しかし二人は私たちをダシにして、楽しんでいるのだ。

ついにグランマダムがプイ、と席を立つ。

ジゴロは私たちにウインクしてから、

グランマダムを追いかける。

グランマダムの放つオーラは、

自信に満ちて、凄味があった。

老いを悔やむことも否定することもなく、

若さに嫉妬することもない。

若いジゴロを相手に暇つぶしをしているのだ。

実に楽しそうだった。

ジゴロはそんな大人の女の精神的なお遊びに、

カンよく付き合えなければ、プロとは言えない。

みじめなただの薄汚れた遊びになってしまう。

友人たちは、「親子かな」とか、

「あの男の人めちゃかっこいいな」とか

「あのおばさんは社長であの男の人は部下かな」とか。

私は黙ってた。

 

私は、年を重ねて凄味のある女が好きだ。

欧州の女たちのように、

日本に生きるほとんどの女たちには、

70を超えても権力や財力はない。

あればそれに越したことはない。

けれど何もなくても

 凄味のある年齢を重ねた女はカッコいい、と思う。

 

そういう女はたいてい人知れず苦労を重ねている。

それでも苦労にのまれない。見せない。

いつも涼しげで堂々としている。

 

さて、パリといえばオルセー。

ルーヴル美術館の前を通って、セーヌ川に出る。

対岸にノートルダム寺院が見えてくる。

しばらく行って橋を渡れば。オルセーが。

 

一日中でもそこに居られる。

聞けば、オルセーは改装したんだそうな。

前にテレビで紹介されていたね・・。

絵が見やすくなったとか。

 

若いころはフランスのホテルの朝食は

パンとカフェだけなので、

パンを袋に詰めてホテルを出れば、

そのまま一日パリをうろうろしていたもの。

 

今ほどにブランドショップにも日本人や中国人が

大勢で押し寄せることなどなかった時代。

 

秋から冬にかけてのパリ。

ゆっくり行ってみたいけど。

時間をつくろう・・。

 

ああ、頭を休めるつもりでパリのこと思っていたら・・

こんな長文に・・。

こんな雑文を書いている場合ではないのに・・。

まっ、お許し願おう・・。