郵便物のもう一つはクリスマスカード。
作家の谷村志穂さんからいただきました。
今、娘が喜んで読んでいるシートン動物記。
谷村さんご自身が翻訳されたものです。
いままで、日本で紹介されているシートン動物記や
ファーブル昆虫記などの、
いわゆる理系の翻訳本は、
すべて男性による翻訳だったそうです。
ということは、谷村さんがはじめて女性として
シートンを子供向けに翻訳されたということです。
どちらがいいかは、わが家では一目瞭然。
私が小学校の時、
両親が買ってくれたシートン動物記の全集は
オオカミ王ロボも最後まで読めず、
いまだに本棚でほこりをかぶっています。
一方、谷村さんが翻訳されたシートンは、
毎晩小学生の娘に「読んで、お母さん」とせがまれます。
娘は昼間も自分で読んでいるというのに。
谷村さんのシートンは動物の親子の表現などが、
本当にきめ細やかで、やさしいのです。
ひとつひとつのことばも注意深く選ばれているのがわかります。
読みやすさと、
本当にシートンが伝えたかった動物の世界、関わり、
生き様が愛情にあふれた訳者の視線を通して描かれています。
生意気な書評をしているわけではなく、率直な思いです。
大人が読んでも十分に楽しめる。私はこの本のおかげで、文字も教科書もない動物たちの世界で、動物の子どもが生き抜く力をつけるための母親の役割を学びました。
谷村さんの才能と人間性が、生み出した素晴らしい本です。
集英社 みらい文庫「シートンの動物記 野生の「いのち」、6つの物語」600円です。
この本を娘と私にご恵贈くださった谷村さんに、
ささやかなお礼の品をぶしつけにもお届けしたら、
すてきなクリスマスカードでご丁寧なお礼状をいただきました。
谷村志穂さんも、
子育てをなさりながらの作家活動でお忙しいですのに、
ありがたいことと感謝しています。