確かに産んだ赤ちゃんを遺棄するという行為は、
罪なことには違いない。保護者責任遺棄罪、嬰児殺、嬰児遺棄は、殺人だ。
こういうケースの場合は、たいてい危険を冒して女性が一人で出産していることが多い。
日本は、女性だけの罪が問われるが、それは問題だと思う。父親の特定も捜査すべきだ。男性の責任が問われないのは、おかしい。法の適用上の差別と言えると思う。
古代ローマの時代から、嬰児殺、嬰児遺棄の問題があった。その背景にはいつも、貧困と飢饉が最大要因としてある。
各国の保護と遺棄、そして避妊や堕胎についての法は、時代と共に変遷しているが、今の日本の嬰児遺棄、嬰児殺
についての考え方は、ゲーテの「ファウスト」のグレートヒュン悲劇のモデルとなったスザンナ事件(1772年)当時の発想に似ている。この事件は、ローマ法を継受して編纂されたカロリナ刑法典(1532年)の最後の段階の事例だ。宿屋で働くスザンナは、宿泊客に強姦されて妊娠し、洗濯場で1人子を産み落としたが、子は死んでしまう。弁護人の弁護むなしく彼女は公開斬首刑に処せられた。(三成2005:11 4f)
日本では死刑とまではいかないが。
今、各国でジェンダーの視点から、法の見直しが行われている。
日本も早急に是正すべきだ。