高2の娘がショパンを弾いている。
別れの曲。
3日か4日で弾けている。
私の大好きな曲。
彼女は中学1年生くらいから、
ピアノで私を追い越した。
「月光」の第3楽章を弾ききったのである。
びっくり。
彼女が小学生の頃、
夏休みにピアノの発表会があった。
有名なピアノメーカーのレッスン教室に通っていたのだが、
曲の完成もされていないまま、
とにかく出演料をとって出演させればいい、
というようなやり方に私は憤慨した。
それまでの発表会も、
発表会というようなものではなかった。
殆どの人が楽譜を持ち込み、なんどもつまり、
お辞儀もいい加減、音もきれいじゃない・・。
こんなのはピアノの発表会とは言わない。
人前で披露する場合は、
暗譜して完成されたものを弾くものだ。
娘には、
残り1週間しかないという時期に、
夫の里帰りに付き合い、
高知の田舎でピアノの猛特訓。
姑や義兄に「きついお母さん」と言われようが、
娘が泣こうがどうしようが、
「ピアノや音楽をなめたらあかん」と最後まで、何百回、と弾かせた。
そして、完成。
お見事。
発表会の日、会場からため息と拍手喝采。
だれよりも私が拍手喝采をおくった。
「あっこは、あの時が無かったら、もうピアノをやめてたかもしれない」としばらくしてから、娘が言った。
「おかあさんは、たしかにきついよね」
「でも、おかげで一芸に秀でれそうや
「そう思う?」
「うん」
「なんぞ、とりえをもってもらわんとね、親としては」
「うん」
「将来、食うに困ったら、今の腕前やったら小学生くらいは教えられるやろ。
生活のたしにはなるよ」
「ほんまやね」
といって笑いながら二人で茶碗を洗っておりました。