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CHOPIN 1月8日

高2の娘がショパンを弾いている。

 

別れの曲。

3日か4日で弾けている。

私の大好きな曲。

 

彼女は中学1年生くらいから、

ピアノで私を追い越した。

「月光」の第3楽章を弾ききったのである。

びっくり。

 

彼女が小学生の頃、

夏休みにピアノの発表会があった。

有名なピアノメーカーのレッスン教室に通っていたのだが、

曲の完成もされていないまま、

とにかく出演料をとって出演させればいい、

というようなやり方に私は憤慨した。

 

それまでの発表会も、

発表会というようなものではなかった。

殆どの人が楽譜を持ち込み、なんどもつまり、

お辞儀もいい加減、音もきれいじゃない・・。

こんなのはピアノの発表会とは言わない。

人前で披露する場合は、

暗譜して完成されたものを弾くものだ。

 

娘には、

残り1週間しかないという時期に、

夫の里帰りに付き合い、

高知の田舎でピアノの猛特訓。

姑や義兄に「きついお母さん」と言われようが、

娘が泣こうがどうしようが、

「ピアノや音楽をなめたらあかん」と最後まで、何百回、と弾かせた。

そして、完成。

お見事。

発表会の日、会場からため息と拍手喝采。

だれよりも私が拍手喝采をおくった。

 

「あっこは、あの時が無かったら、もうピアノをやめてたかもしれない」としばらくしてから、娘が言った。

 

「おかあさんは、たしかにきついよね」

「でも、おかげで一芸に秀でれそうや

 

「そう思う?」

「うん」

「なんぞ、とりえをもってもらわんとね、親としては」

「うん」

「将来、食うに困ったら、今の腕前やったら小学生くらいは教えられるやろ。

生活のたしにはなるよ」

「ほんまやね」

 

といって笑いながら二人で茶碗を洗っておりました。