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大谷高校の卒業証書授与式 素晴らしい! 2月28日  

午後1時から大谷高校講堂にて。

立派な講堂

こんな荘厳な卒業式は、初めての体験でした。
娘の高校の卒業式。
中高一貫教育ですから6年間お世話になりました。

公立小学校に通う娘が、
「お母さん、いつになったら塾に行かしてくれるの?」
「へ?」
という会話を交わしたのが3年生の年末。

なぜ塾に行きたいのか娘の話を聞いてみると
このまま中学校に上がるのではなく、女子校に行きたい。
受験が必要だから塾に行かせてほしい。
友達の大半は塾に行っている、ということでした。
その背景には友達との確執、いじめの問題、
先生の対応など娘は相当な不満を持っていたようで、
その事実についても私自身が、
すべてではないけれど確認できていたこともあったので、
娘の気持ちは理解できました。

さっそく塾探しにとりかかり、
さまざまな人に情報をもらい、
塾の受験が1月で2月から新4年生としての
授業が始まることも初めて知りました。

公立小学校に通う娘は、
成績は学校ではよい方でしたが、
塾にはいってみると、
すべての科目が1年以上先に進んでいます。
たとえば算数なら、
まだ習っていない分数の計算や小数の計算から
だーっと大量の宿題がある。
私立や塾に行っている子どもらはすでに、
1年前にしっかりと習って終わっているという進度。

娘の格闘が始まりました。
思えば、私は親としてあまりにものん気で、
のんびりしすぎていたわけです。
でも「塾なんか行かせる必要はない」と思っていたし、
自分の小中学校の時代を基本に
 学校の勉強をしっかりしていれば、
それなりの高校、大学には行けると思っていたからです。

負けず嫌いの娘は、
おそらく今回の大学受験の勉強よりも
あの頃の中学受験の方がよく勉強していたというくらい、
塾の進度に追いつくまでの1年半は、お
ふろにも入らな日があるほど、机に向かっていました。

6年生のころにはようやく追いつきましたが、
第1志望であった四天王寺中学には合格せず、
どちらかと言えばしぶしぶ今の大谷中学校に入学しました。

でも大谷高校の卒業式は感動でした。
校長先生の式辞と卒業生代表の答辞の内容が、
素晴らしかったのです。


まず「父兄」ではなく「保護者」という表現が一貫していること。
これは私立の学校ではめずらしいことです。
校長先生は、ヴィンテージ.E ・フランクリンという
オーストリア人の精神医学者のことばを引用し話をされました。
フランクリン博士は、ナチスドイツに捉えられ、
収容所でガス室に送られる順番を待つ間に、
人間とは何か、生きるとはどういうことかを考えたそうです。
そして、幸いにも生きてオーストリアに戻ることができてから、
多数の書物を書き、そのなかで
「人間は、何をしてもいいという人間はいない、また何にもしなくてもいいという人間もいないのだ。みな何か社会のためにしなければならないこと、できることがある。すべての人は何らか必要とされる存在である。」
という言葉を繰り返されました。

さらに最後に、
女性がこれからの社会において、
従来と違った役割を果たしていく責務がある、
しっかりと実力をつけて、活躍してください、
と締めくくられました。

石本校長先生は、
数年前に北野高校の校長をされていたそうですが、
短いスピーチの中で読み取れることは、
この校長先生が人権問題を
しっかりと学んでこられているということ、
かつての女子校のように「良妻賢母」を目標とはしていないこと、
さらに生徒を心から愛されているということです。


娘は、普段はどちらかというと
淡々としていてクールな感じですが、
校長先生の話を聞いて号泣したといいます。
たしかに卒業式のあと、
ほとんどの生徒が泣いていましたが、
娘も泣いていました。

生徒は先生に「仰げば尊し」を謳い、
在校生と先生は「蛍の光」を謳う。
オーソドックスですが、
ここに先生と生徒、
学校と保護者との信頼関係の絆が見える。

1時間半にわたる式典は、本当に静かで、
どこかの成人式とは大違い。


卒業生を代表する答辞は、
東京大学に進学するという生徒。
感動的だったのは、
シリア政府軍の銃弾に倒れた女性ジャーナリストの
社会的貢献に想いを寄せていたこと。
彼女が世界の平和のために身を挺して
戦争の現実を世界に訴えようとしていたことを、
答辞の中で触れる感性が、
私にはとてもうれしかった。
そして、大谷で培ったことをこれから
自分たちはしっかりと社会のために役立てると。


大谷高校はこれからも
ますます発展する学校であることを確信しました。
そういえば、
 学校の授業でも人権教育にはとても力を入れていて、
娘が人権の授業の話をよくしてくれていました。

素晴らしい学校にお世話になれたこと心から感謝します。
なによりも娘が、この学校に通えてよかった、
と思えていることが何よりです。

娘よ、人生はこれから。がんばれ!

担任の先生と