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「大阪府子どもを性犯罪から守る条例」 可決 3月24日

この条例も昨日3月23日大阪府議会で賛成多数で可決されました。 

18歳未満の子どもに対する強姦や

強制わいせつなどの罪で服役した前歴者が出所後
大阪府下に在住する場合には、

5年間その住所地を知事に届け出をすることを義務付けるもの。

その目的は性犯罪の再発を防止し、

前歴者の社会復帰などを支援するため、というもの。

確かに性犯罪は同じ人が、再犯を繰り返すことの多い犯罪です。
アメリカなどでは、

服役後の前歴者が居住する地域の人々に

「前歴者であること」を周知されたり、

本人にマイクロチップを埋め込んで、

所在を警察などが確認できるようにしていたり、

加害者の人権より、再犯防止の手段に重点が置かれています。
そのくらい深刻化しているのが性犯罪です。

大阪もひったくり件数がまた全国ワースト1位になってしまいましたが、

同時に女性への強制わいせつもワースト1位。

こんな条例が必要になるのかもしれませんが、

やっぱり条例の運用については大阪弁護士会からの意見もあるように、

問題点があり、未整備なものとなっています。

「性犯罪」を防止するには、

単に刑罰や監視を強めるだけでは不十分で、

やはりジェンダー教育が必要になってきます。
この条例で言う「社会復帰支援員」がこの前歴者をどう見守り、

どのように指導し、支援していくか。
そのことが服役中になされないなら、服役の意味がありませんし、

服役中で不完全なら、加害者プログラムの指導の徹底が必要です。

強姦について「減るもんじゃなし」とか

「犬にかまれたと思え」というような軽い感覚や
「男の本能」というような生物本能論による正当化、

「性犯罪を減らすためにソープランドなどの買春ができる場所は必要」という

欺瞞論が横行している社会風土そのもの、つまり
女性の人権が軽視されていることが問題なのです。
問題点を明白にしたうえで、

抜本的な性犯罪防止対策が講じられる条例に整備する必要があります。

 



大阪府子どもを性犯罪から守る条例


次代の社会を担う子どもが、健やかに成長し、安全に安心して暮らせることは府民全ての願いである。

しかしながら、子どもの心身に重大な被害を及ぼす犯罪が後を絶たず、 とりわけ子どもに対する性犯罪は、その人権及び尊厳を踏みにじる決して許すことのできない犯罪であり、身体的及び心理的に深刻な影響を与え、子どもの健やかな成長を著しく阻害するばかりでなく、その家族はもとより地域社会にも重大な影響を及ぼすことになる。
また、犯罪に至らないまでも、子どもや保護者、地域社会に不安を与える事象の発生も少なくない。
これらの状況を踏まえ、子どもに対する性犯罪を未然に防止し、その安全を確保するためには、私たち一人ひとりが子どもを性犯罪から守ることに対する理解を深め、府、市町村、事業者、府民等が一体となった取組を展開することが不可欠である。
社会全体で子どもを性犯罪から守ることを基本に、子どもが性犯罪の被害に遭わない、その加害者を生み出さない社会の実現を目指し、この条例を制定する。


(目的)
第一条

この条例は、子ども仁対する性犯罪を未然に防止するため、府、事業者及び府民の責務を明らかにするとともに、子どもの安全を確保するための取組を推進し、及び必要な規制等を行い、もって子どもが健やかに成長し、安全に安心して暮らせる社会の実現に資することを目的とする。


(定義)
第二条

この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。


一 子ども十八歳未満の者をいう。
二 性犯罪次に掲げる罪をいう。

 

イ 刑法(明治四十年法律第四十五号)第百七十六条から第百七十九条まで、第百八十一条、第二百二十五条(わいせつの目的に係る部分に限る。以下この号において同じ)、第二百二十八条(同法第二百二十五条に係る部分に限る。)第二百四十一条及び第二百四十三条(同法第二百四十一条に係る部分に限る。)の罪

 

ロ 盗犯等の防止及び処分に関する法律(昭和五年法律第九号)第四条(刑
法第二百四十一条前段の罪又はその未遂罪を犯す行為に係る部分に限る。)の罪


ハ 児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に閲する法律(平成十一年法律第五十二号)第七条第三項の罪

 

ニ イからハまでに掲げるもののほか、自己の性的好奇心を満たす目的で犯した罪


(府の責務)

第三条

府は、市町村、事業者、府民等と連携して、社会全体で子どもを性犯罪から守るために必要な施策を実施する責務を有する。
2 府は、事業者及び府民が、子どもを性犯罪から守るために行う自主的な活動を促進するため、必要があると認めるときは、助言その他の必要な支援の措置を講ずるよう努めるものとする。


(事業者の責務)
第四条

事業者は、社会の一員として子どもを性犯罪から守るために積極的に行動するよう努めるとともに、府が実施する子どもを性犯罪から守るための施策に協力するよう努めるものとする。

 

(府民の責務)
第五条

府民は、日常生活における子どもの安全の確保に努めるとともに、府が実施する子どもを性犯罪から守るための施策に協力するよう努めるものとする。


(適用上の注意)
第六条

この条例の適用に当たっては7性犯罪の被害を受付た子ども及びその関係者の名誉又は平穏な生活を害することのないよう十分配慮しなければならな。


(啓発活動等)
第七条

府は、子どもに対する性犯罪を未然に防止し、その安全を確保することについて、府民の理解を深めるために必要な広報その他の啓発活動を推進するものとする。
2 府は、子どもを性犯罪から守るための教育を充実するよう努めるものとする。

 

(不安を与える行為の禁止)
第八条

何人も、親権者、未成年後見人、学校等の職員その他の者で現にその監督保護をするもの(以下「監督保護者」という。) が直ちに危害の発生を防止することができない状態にある十三歳未満の者に対し、挨拶、防犯に関する活動等の社会通念上正当な理由があると認められる場合を除き、次に掲げる行為をしてはならない。


一 甘言又は虚言を用いて惑わし、又は欺くような言動をすること。
二 義務のない行為を行うことを要求すること。

 

(威迫する行為等の禁止)
第九条

何人も、その監督保護者が直ちに危害の発生を防止することができない状態にある十三歳未満の者に対し、社会通念上正当な理由があると認められる場合を除き、次に掲げる行為をしてはならない。


一 いいがかりをつけ、又はすごむこと。
二 身体、衣服等を捕らえ、又はつきまとうこと。

 

(禁止行為に係る通報)
第十条

前二条に規定する行為に該当すると認められる行為を発見した者は、監督保護者に連絡し、又は警察官に通報するよう努めるものとする。

2 前項の規定による連絡を受けた監督保護者は、前二条に規定する行為に該当すると認められる行為が発生した旨を警察官に通報するよう努めるものとする。
3 第一項の規定による連絡又は通報を行う者は、前二条に規定する行為に該当すると認められる行為を受けた者の不安の軽減を図るよう努めるものとする。

 

(不安を与える行為の禁止等に聞する配慮事項)
第十一条

第八条及び第九条の規定の適用に当たっては、挨拶、防犯に閲する活動等を阻害することのないよう十分配慮するものとする。

 

(住所等の届出義務)
第十二条

子どもに対し、第二条第二号イからハまでに掲げる罪を犯し、これらの罪に係る刑期の満了の日から五年を経過しない者で府の区域内に住所を定めたものは、規則で定めるところにより、当該住所を定めた日から十四日以内に、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。


一 氏名
二 住所
三 性別
四 生年月日
五 連絡先
六 届出に係る罪名
七 刑期の満了した日

 

2 前項の規定による届出をした者は、問項各号に掲げる事項に変更を生じたとき(次項に規定する場合を除く。) は、その日から十四日以内に、その旨を知事に届け出なければならない。
3 第一項の規定による届出をした者が新たに府の区域外に住所を定めることとなった場合は、その旨を知事に届け出なければならない。

 

(社会復帰に関する支援)
第十三条

知事は、前条第一項の規定による届出を受付たときは、訪問等により届出の内容を確認した上で、その確認が得られた者(以下「社会復帰支援対象者」という。)に対し、社会復帰に関する相談その他必要な支援(以下「社会復帰支援」という。)を行うものとする。
2 社会復帰支援を行うに当たっては、社会復帰支援対象者の意に反して、その家族、近隣住民その他の関係者にその事情を知られないよう十分間慮しなければならない。

 

(警察本部長に対する協力の依頼)
第十四条

知事は、前条の規定に関し、警察本部長に対して協力を求めることができる。


(個人情報の管理)
第十五条

知事は、社会復帰支援を行うために第十二条第一項の規定による届出により収集した個人情報(大阪府個人情報保護条例(平成八年大阪府条例第二号)第二条第一号に規定する個人情報をいう。)について、別に定めるところにより、適正に管理しなりればならない。

 

(規則への委任)
第十六条

この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。


(罰則)
第十七条

次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。


一 常習として第八条の規定に違反した者
二 第九条の規定に違反した者

 

第十八条

第十二条第一項又は第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、五万円以下の過料に処する。


附則


(施行期日)
1 この条例は、平成二十四年十月一日から施行する。


(経過措置)
2 第十二条の規定は、この条例の施行の目前に第二条第二号イからハまでに掲げる罪を犯し、これらの罪に採る刑期が満了した場合については、適用しない。